O サーマル工房 Ka-8b ソロ の製作   


サーマル工房より発売されたこの機体はシャーレ機にはないスケールらしさがあると思います。
私が惹きつけられたのは見かけだけでなく、スパンが2.5mあること。
一般に2mを超えると浮きが良くなると言うのは定説です。
そして全備重量が電動仕様で1100〜1300gという軽さです。
サーマル工房のHPでフライト動画などをしっかり見てついにキットを買ってしまいました。

キット以外にサーマル工房に注文した物
  マサゾーモーター(両軸タイプ)
  ステルスハブ 3.17mm
  9*5折ペラ
  オラテックス(布目調フィルム)白

他でそろえた物
  ハイペリオンアンプ 30A
  リポバッテリー ハイペリオンLVX3S−1800mAh
  3.5mmゴールドコネクター
  受信機 Berg7p
  サーボ フタバ 9601*2 ウエイポイント084*3(ラダーエレベーターにトルク2kg以上、エルロン*2、スポイラー 9gタイプが指定)
  延長コード エルロン用 100cm 2本、アンプ用 15cm 
  オラライト クリヤーホワイト、オラカバ フェラーリレッド
その他瞬間接着剤の低粘度と高粘度、硬化促進剤、エポキシ接着剤、塗料など

私はサーマル工房に電話をして色々アドバイスを頂きパーツなども含めて直販してもらいました。一つの箱にきれいに収まって来ました。
キットに含まれる全パーツです。強度を考え厚さの違ったベニヤやバルサのシートが見事にレーザーカットされています。キャノピーは2種類の物がつくれるように部品があり取替えはワンタッチで出来ます。
小物パーツも充実していて、リンケージパーツからヒンジテープまで入っています。他に必要な物はないように揃っていますが、私はスポイラーのロッドエンドをボールリンクに変更したのと、エルロンロッドを1.2mmに変更しました。
モーターはサーマル工房のマサゾーモーター両軸タイプを選びました。他のメーカーの物でもかまいませんがシャフトが長めでないと使えません。噂ではシャフトの交換は結構ノウハウがいるようで、ねじロック剤の使ってあるタイプはいもねじを緩めるために加熱して磁石をだめにしたなどと聞きます。バックマウントセットが附属(モーターとアンプのコネクターも附属します)なのでポン載せが出来ます。ありがたいことにシャフトのDカットがしてあります。ステルスハブと折りペラ 9*5 は綺麗にノーズの型にフィットしてくれ滑空中のシルエットが映えます。マサゾーモーターの定格は18Aですが、アンプは余裕を見てハイペリオンの30Aを選びました。
接着剤は全て瞬間を使いました。広い面積を着ける場合は高粘度、パーツを組み立ててから着ける場合は低粘度です。

3*6ヒノキスパーを指定の長さに切ってWスパーを作ります。
WP1,WS1,Wスパーを接着します。同じ向きを二つ作らないように注意。
定板の上に図面を載せてポリラップを敷き、平面形が歪まないように要所を待針で押さえ各パーツを接着していきます。私はかんざし止めになるWH2を付け忘れて後で切開手術をする羽目になりました。
W1は胴体との取り付けで角度がついているのでWH3などを基準に慎重に接着してください。他のリブは定板に直角、特にW15は外翼との接合の基準になるので直角に注意しましょう。肉抜きやスポイラーのロッドが通る穴が見えます。
かんざしパイプとWH3,4の空間はエポキシ+マイクロバルーンで充分に充填します。
スポイラーの部品 B4〜6 を組み立てます。
構造上B4,5はペーパーで少しサンディングして薄くしなしと動きが渋くなります。仮組みをして軽く動くか確認をしましょう。
スポイラー全体の組み立て。軽く動くようにねじを締めすぎたりむやみに瞬間を流し過ぎないように注意が必要です。
スポイラーリンケージパイプを左右の翼で位置をずらしてセットしスポイラーを主翼に仮止めします。先端を5mm程 L字型に曲げた0.9mmピアノ線を後ろ側から差込み動きを確認します。
スポイラーはWH5の中間の位置に来るように注意して下さい、私は片方のスポイラーが少し前よりにこけてしまいました。
上面プランクはスパーから後部を定板に密着させ前縁部にカイモノをした後、高粘度を手早く塗り位置決めをしてアングル材で押さえていきます。B9をスポイラー上面に接着してプランク材と高さが合うようにサンディングします。後部プランク材WP2は後ろ側を斜めにサンディングする必要があります、120#ぐらいのペーパーで軽く擦れば短時間でそれなりに仕上がります。
外翼も同様に組み立てます。内翼と滑らかに繋がるように接着前にW16の位置などを確認すると良いでしょう。エルロンホーンの取り付け台WH6を忘れないようにします。ケガキ線でエルロンをカットして全体を仕上げていきます。
3*6ヒノキを2枚張り合わせてカンザシにして内外翼を接合しますが前縁の通りが悪かったのでヒノキを少し削って合わせました。
水平尾翼の製作です。プランク治具を組み立て図面に合わせて固定します。
ラップを敷いてから各パーツを治具の上で接着します。特にS2とS8は定板に直角になっていることに気をつけます。対称翼なので同様にもう一つ作ります。
エレベーターを組み立てます。歪みがないのを確認してから瞬間を流しましょう。
水平の左右を貼り合せ形が出来上がりました。この後の整形はバルサキットを作る大変さ醍醐味が満喫できます。私はカッターで荒削りをして120#ぐらいのペーパーで根気よく良い形になるまで削りました。
垂直とラダーは空中組み立てでも問題なく出来ると思います。
胴体の組み立てになりますがそれぞれのパーツをきちんと嵌め込めば歪みの無い形が出来上がるようになっています。
複雑な形ですが案外さくさくと組めます。トラス材などの長さもバッチリと合います。私は図面の向きを見間違え斜め材の方向を逆にしてしまい長さが合わないと勘違いしてしまいました(組み立て説明図面では上下をひっくり返して作るように描いてある)。
スケールならではの複雑な造形ですが今までに無いぐらいに歪み無く組み上がりました。大変よく考えられた設計だと思います。見ていても惚れ惚れするぐらい美しいです。私はモーターマウントと主翼取り付けのF37などは高粘度の瞬間+硬化促進剤で肉盛り補強をしておきました。
ノーズコーンはA、Bを貼り合せてF51を内側から接着します。胴体に合わせてビス止めしますが皿ビスの頭が出ないように座彫りをします。
主翼中央部分のカバーは前部がノックピン、後部がピアノ線を使い脱着が簡単に出来るようによく考えてあります。
キャノピーは2種類の物が作れます。優れもののヒンジのおかげで取り替えもワンタッチ。マグネットで開閉も簡単です。胴体にラップを被せ枠を組みます。外形が揃うように一部はサンディングしましたがCP2の隙間はマイクロバルーンと瞬間で埋めました。枠とキャノピーの接着はロングノズルを付けて胴体の隙間から差込み少量の瞬間を流して固定します。流しすぎて垂れたり曇ったりしないように細心の注意をして一発勝負です。失敗したらもう一個の方を使いましょう。
水平尾翼はビス2本で脱着出来ます。出来上がった水平尾翼を受け台のF43に揃えて載せて、尾翼にあらかじめ開けてある穴から2.5mmぐらいのピンバイスでもみ込むとずれることなくビス受けのF11,12の穴に合いました。その後胴体に垂直安定版を接着すればほぼ生地完です。翼端など整形する部分がいくつかありますが私はカッターで荒削りをした後120#〜320#のサンドペーパーで仕上げました。ここは一つ美しく仕上げることを考えて手を抜かずに根気良くやるしかないです。主翼はカーボンかんざしで繋ぎスプリングで抜け止めをします。
仕上げは主翼と水平尾翼はオラライトのクリヤーホワイトです。主翼は片翼で内、外、上、下で4分割。外翼のエルロンの外側はオラカバのフェラーリレッドの配色にしてぎりぎりオラライトは1本で足りました。胴体は複雑な形状のため布目調のフイルムを薦められましたのでオラテックスの白を使いました。胴体の左右と後上部の3分割で張りましたが上手い具合にフイルムが収縮するので思った以上にきれいに張れました。ノーズコーンは段差をパテ埋めして主翼カバー共々400#のペーパー磨き。ウレタンの白を吹きましたが塗装の不慣れな私はしっかり垂らしてしまい何度も修正する羽目になりました。ノーズコーンなどにアクセントを入れるとぐっと引き立ちます。オラテックスのままでは汚れの滲み込みがあるのと、マスキングテープの付が悪いのでアクセントカラーを入れる場合はどうしても白かクリヤーなどを塗る必要があるそうです。
エルロンサーボの取り付け台は附属のパーツの一部を切り取り使いました。
ウエイポイント 084 は厚さ11mmで横積用のパーツが附属しますがそのままではぎりぎり収まらないのでねじ部分の出っ張りを擦り落としました。出来るだけ前方に積んでやっと収まります。
ロッドは1.2mmのピアノ線を曲げて作ります。サーボカバーを両面テープで貼り付けて完成です。
スポイラーサーボもウエイポイント084ですが附属のホーンで丁度良いストロークが得られました。接続は附属のパーツは使わずにボールリンクに変更してあります。エレベーターとラダーのリンケージですがよく見ると胴枠にノイズレスパイプを通す穴がありますのでそれを利用しましたが機体が完成してから通すのは結構大変でした、生地間の時に取り付けましょう。パイプの位置は後方は側板の出口の2cm手前、前方はF2の5cm後ろ側ぐらいがロッドの動きがスムーズです。0.9mmピアノ線にロッドエンドをハンダ付けしてサーボ側から通していき、動翼側のホーンの位置に合わせてL字型に曲げて10mmほどで切り落とします。テンションが掛かるようにホーンの穴に差し込みます。キットには振れ止めパーツがありましたがそれは使わずにスクラップ材で作り胴枠の適当な位置に接着しました、これが無いとリンケージがたわむので必ず付けましょう。
マサゾーモーターはやや高価ですがポン載せが出来るので便利です。ハイペリオンLVX 3S1800mAh を初充電しての測定は 折ペラ 9*5、無負荷時 12.47V、 負荷時 10.61V 16.8A 179W 11040rpm となりました、なかなかのパワーです。(Eメーターでの実測ですが回転数は少し疑問です)
アンプと受信機は写真のような位置にマジックテープなどで固定しました。バッテリーの固定もマジックテープですが、ベニヤ板の上にプラ版を接着してから貼り付けました。多少移動して重心位置が変えられるように長めにしたんですがモーターマウントに当たるまで前に積んで丁度重心が合いいました。


やっと完成した機体を秤に載せてみると 1165g(バッテリー150g込み) で仕上がりました。カタログでは1100〜1300gですので上出来です。
パイロット人形が20gあるのと、延長コード、ラダー、エレベーターサーボをもう少し軽い物にすればほぼ1100gで仕上がるわけです。

セッティング
私は愛用のフタバFF9を使っています。エルロンとエレベーターは上下で指定の舵角が違います。本来ならサーボホーンの位置をずらして差動させるのでしょうがここはコンピューターの力を借りましょう。エルロンはエルロンディファレンシャルの機能でエレベーターはデュアルレートの機能を使って舵角を合わせます。スポイラーはスロットルチャンネルを使います。スロットルハイでスポイラーが閉じてスローで全開になるように調整します。モーターのオンオフはギヤチャンネルを使います。
E−メーターを使ってアンプの設定もします。ソフトスタートとブレーキ機能は必要でしょう、カット電圧も忘れずにチェックしておきます。
他にエルロンからラダーに50%のミキシングを入れました。それからギヤチャンネルからエレベーターにモーターオンで10mmダウンのミキシングを入れました。しかしこれは谷村さんに言わせると出来れば指でやれるように訓練しましょうとのことでした。
サーボ数は5個ですが今の所 BEC機能は問題なく動いています。

フライト
出来上がれば早く飛ばしてみたいものです。今までにスパン1.5mの400クラスの電動グライダーやハンドランチグライダーは経験ありますがこのクラスのグライダーは初めてです。飛行場で機体を組み立てたら今一度メカチェックです、舵の方向を確認してOK,距離テストでは受信機のCC-RX-Berg7Pの性能がいまいちで30mまで電波が届きません 。近めに飛ばすように心がけましょう。いよいよモーターONですが一人で飛ばすのは大変でした。軽量化のためかなり華奢な作りです、強く持つと壊れてしまいそうですがモーターのパワーはかなりあるのでそれなりに気合を入れて持つ必要があります。出来れば助手の人に両手で支えてもらうのがベストです。片手で程よい所を掴んで片手でモーターONです、強い引きです。手を離すと60度ぐらいの角度で上昇します。その後もどんどん上を向いていき垂直状態になり軽い失速をしてしまいました。思ってもいないほどの上昇力にビックリです。何とかエレベーターダウンを入れながら高度をとりました(この時はダウンミキシングを入れていない)。トリムを取ってからあちらこちらを飛び回りセンタリングしますが、全くサーマルがよめない自分が情けないです。高度がなくなってくるとまたモーターONで上空へ。しかし上手くダウンを入れるのは大変です、気を抜くと真上を向いていまい軽く失速します。1回のモーターラン1分なら単純計算で10回のランが出来るのですが、200m以上に上がるのに1分はかかりません。電池1本でかなり長い時間遊べることになります。初フライトも15分ぐらいすると集中力が切れてきます、かなり緊張して飛ばしていますから。着陸ですがスポイラーを経験したことが無いのでエンジン機のようなイメージで持ってきました。やや風があったのでほとんど伸びてきません。あっけなくショートで場外着陸になってしまし翼端とノーズコーンに傷が付いてしまいました、残念。エンジン機のようにもうひと吹かししてと、モーターランすればよかったのか?
その後モーターONで水平から緩上昇するぐらいのダウンエレベーターを探ったら10mmダウンぐらいで落ち着きました。
上空では飛ばす前に自分が想像したぐらいに浮きが良く、少しダウンを打てばそこそこ走ってくれます。
初体験のスポイラーですが、谷村さんにお聞きした所、全開で降下してほんの少しアップを引くぐらいで特にエレベーターへのミキシングは不要とのことでした。20mぐらいの高さで滑走路の上に進入した時点でスポイラーを全開にすると30〜40度の角度で降下してきます。それなのにスピードは上がりません、目の前に綺麗に着陸できました。スポイラーとは扱いやすく効果てきめんの装置です。
サーマルが全くよめない私ですが、現在10フライトで2回ほどなかなか降りてこないフライトがありました。ひどく上昇するでもなくいつまでも同じような高度で飛んでいました、小さいサーマルがたくさんあったのでしょうか?スポイラーのおかげで着陸も綺麗に決まるし楽しい機体が一つ増えました。




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